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Interview
KAiGO Design Award AI部門最優秀賞 パナソニック株式会社 受賞者インタビュー
パナソニック株式会社 受賞者インタビュー


なぜこのアワードに応募したのですか?
ニコボはもともと民生向けに販売している商品です。ただ、ご高齢の方を介護されているご家庭からの声や、介護施設でお迎えしてみたら非常に良かったというユーザーの声が届くようになり、ニコボが介護・福祉の領域の課題に対してお役に立てるのではないかという仮説を持つようになりました。
ただ、仮説はあくまで仮説です。社内でそう思っているだけでは、やはり説得力に欠ける。そこで、この仮説を第三者的に、かつ現場視点で確かめたいと思った時に、このアワードが「使う側の視点からの評価」を含んでいるというところが大きな決め手でした。ニコボが持つ「癒し」や「会話を生み出す」という商品価値が、介護福祉の現場においても本当に価値を持つのかどうかを、現場を知る方々に確かめていただきたかった。それが応募した一番の目的です。
他の介護系アワードも調べたのですが、開いてみると車椅子・ベッド・入浴補助用具といったカテゴリが中心で、少し閉じた印象がありました。それはそれで大切な価値があると思うのですが、弊社のような、もともと介護とは異なる領域から参入しようとしているニューチャレンジャーが評価を受けられる場所というのは、なかなかなかったんですよね。現場発で商品価値を確かめられる場として、このアワードは唯一に近い存在でした。介護向けではない商品が介護の現場で評価されるかどうかを、まさに現場の目線で問える場所というのは、本当に貴重だと感じています。

“癒し”と“会話”が生み出す価値でした。
このアワードを通して自社にどんなメリットがありましたか?
大きくは二つあります。
一つ目は、社内外への発信力です。ニコボは介護向けに作った商品ではありません。それでも、現場を知る審査員の方々から客観的にご評価いただけたことは、「ニコボは介護業界に価値を持つ」という明確なメッセージになりました。受賞というかたちで示せるエビデンスができたことは、対内には今後の事業展開における根拠ととして、対外には説得力を持たせるものとして、大きな意味を持っていると感じています。「介護業界でこういう評価を受けた商品なんです」と言える、その一言の重みが全然違ってくる。
二つ目は、自分たちの商品価値の再認識です。ニコボは便利を除外して作られたロボットです。AIスピーカーの様に照明やテレビもつけられない。気ままにそばにいることしかできないロボットなので、直接的な経済的価値を生むものではない。法人に販売する上ではそこが障壁になってきます。「これを入れてどうなるの」と言われてしまう商品です。特に介護業界は人手不足・予算不足と言われている中で、効率化・ソリューション志向の提案が求められがちで、そこにニコボをどう位置づけるかというのは、ずっと課題感としてありました。
ただ、ニコボがいることで、ケアされる側はコミュニケーションが取れる。ケアする側も会話が誘発されたり癒されたりする。そうやって双方にとって施設の中の空気が和らぐというのは、確かな価値なんですよね。それを数値化するのは非常に難しいのですが、ピッチの資料を作る過程で、介護の現場における商品価値は「癒し」と「コミュニケーション」にあるんだと改めて言語化できました。言葉にしてスライドに落とし込もうとすると、思いもよらなかったことが見えてくる。出口を作ることで自分たちの強みが見えてくる、という経験でもありましたし、個人的にはそこが今回一番大きな収穫だったかもしれません。アワードへの挑戦が、商品そのものへの理解を深める機会にもなったということです。

異業種だからこそ生まれる可能性が、そこにはありました。
これからチャレンジする人に一言
会場でも「高齢社会が最大の未開拓マーケット」「老いをマーケットに変えた瞬間、日本が勝つ」という言葉が出ていましたが、私はあの言葉がすごく好きで。介護・福祉の領域というのは、どうしても「やらなければいけない問題」「考えなければいけない課題」という論調になりがちです。もちろんそれは大切なことですが、それだけでは企業が積極的に動くきっかけにはなりにくい。もっとポジティブな空気感で「マーケットがあるよ」という視点でチャレンジするというのも、企業として一つの良い入り方だと思っています。
真っ青なブルーオーシャンかというとそうではありませんし、大変なこともあると思います。ただ、弊社も介護の会社ではありませんでした。テレビやカメラといったAVC領域の会社が、ニコボというプロダクトを通じてこの領域に踏み込んでみた。それでも、こういった形でチャレンジして評価していただけた。
介護向けではない自分たちの商品や技術が、少し視点を変えるだけでこの領域にマッチするかもしれない。そういう気づきを持っていただくだけでも、大きな一歩になると思っています。自社の強みをそのまま持ち込んでいい。むしろそれが新しい価値になる可能性がある。そう感じていただける方が一人でも増えれば、この業界はもっと豊かになっていくんじゃないかと思っています。一つのマーケットを獲りにいくという視点で、ぜひ多くの方に踏み込んでみていただきたいです。もちろん、弊社もチャレンジャーとして、更なる挑戦をしていきたいと考えております。

現場からの評価が、次の挑戦を後押ししました。

異業種だからこそ生まれる可能性が、そこにはありました。